王騎士手帳

カメラと、音楽と、ガジェットと、ときどきゲーム。

ミスター麻雀

私は麻雀が好きだ

というよりは、アナログゲーム全般が好きだ。

 こまごまとした色々なものを規則に従って様々に並べて、考えながらやりとりをすることが好きだ。

 幼い時からトランプ、将棋、囲碁花札といったテーブルゲームを好んだ。もちろんそこには金銭のやりとりという危うげな概念は存在せず、小学校の友達に花札のこいこいを仕込んで遊んだりしていた。もしかしたら、友達のご両親からは危ない目で見られていたかもしれない。

 

 将棋なんかは、結局祖父には生きているうちに一度も勝てなかった。脳卒中で倒れ寝たきりになって半身不随になった祖父にもついぞ一度も勝つことがなかった。祖父は強かった。

 花札は、お盆に青森にある父の実家に帰省したときは祖母と朝方までやるくらい好きだ。というより、祖母と一緒に遊ぶツールとして使ったものだ。祖母は面白い人で、札を繰り出すときに面白おかしな擬音を声に出すのだ。中学生の時にそれがあまりにもおかしくて、深夜ゲラゲラと笑いが止まらず、寝ていた両親が何ごとかと起きてきたほどだ。

 小学生の自分だっただろうか。12/25の朝、枕元にはきれいな包装紙に包まれた大きな正方形の箱がそっと置かれていた。そう、クリスマスプレゼント。私は狂喜して包装紙を破り、その中身を取り出した。

 

 そこに現れたのは、ドラえもんドンジャラ

 

 親はよく自分のことを見ていたのだなと思う。お願いしたわけでもないのだが、自分の好きそうなものというのをよく把握していた。それはもう、父母と弟を巻き込んでずっと遊んだ。こんなに面白い遊びがあったのかと。自分でルールを考えて遊んだりもしていた。高校生になったときでも、叔父さん夫婦とは徹夜でドンジャラをした。(そのころはもう麻雀出来たし叔父は賭け麻雀を普通に打つ人だったけど、叔父のお嫁さん(叔母さん、っていうの?)が麻雀出来なかった。)

 ある日、友達からスーファミのプロ麻雀 極というゲームソフトを借りた。どうやら親の持ち物だったらしいが、ドンジャラに似ていて面白そうだったので借りてみたというわけだ。これがもうルールが全く分からないし、ポンだのチーだの、なんだそれ?と思いながらも偶然役牌を鳴いていたりで上がれて楽しかった、ほんと始めのきっかけってそんなものだった。ドンジャラより何もかも複雑で、これをできる人はかっこいい、と思った。

 小学校のときから麻雀に興味を持つという、端から見るといったいなぜ?と思うような子供が私だった。別に親が好きなわけでもないのに。

 中学生の時分は、「図書館に行ってくる」と嘘をついて電車で3,40分離れた街まで行って、ゲーセンの麻雀を打っていた。折しもコナミ麻雀格闘倶楽部セガがMJを出した頃だった。振り込んだ時の大音量の雷におっかなびっくりゾクゾクしながら、それはとても緊張した麻雀を打てたのだ。お金なんか賭けなくても引き締まった慎重な麻雀は打てる。

 ただこの時までは全部ゲームでのことなので、実際に牌を使った打ち方を覚えるのはちょっと先になる。

 

 

私は麻雀が好きだ。

というよりは、ゲームを通して人と関わりを持つのが好きだ。

 なにせネクラでヲタクな性分があるので、何気ない会話や遊びというのがあまり得意でない。ゲームなり音楽なり、話の土俵を用意しないとどうにも構えが分からないのだ。大学時代は牌とマットを持っていたこともあっていろんな人と手打ちする機会ができた。人間関係において麻雀に助けられた部分は多かったと思う。同じ学科の、普段あまり話さない人と打つことになってからその人と普段の交流が生まれたり、だとか。ただ徹夜では打たなかった。たいていが酒を飲みながらグダグダ打ったり、授業の合間で打ったりしていたから。オケの、ちょっと話しにくいなと思っていた先輩とも打ったし、それをきっかけになじんだ。本当に優秀なコミュニケーションツールだなと思った。

 

私は麻雀が好きだ。

役満和了る瞬間が何よりも好きだ。

 ちょっとでも役満が見える配牌が来ると、ちょっと無茶だなと思っても目指してしまう。国士無双なんぞ、八種九牌あれば十分狙えると思っている。4シャンテンなんて、メンツ手でカンチャンペンチャンだらけの最悪配牌よりずっといい。

とても華やかな麻雀を打つなあ、と思っていた一人の雀士がいた。

 

 そう、小島武夫。

 

プロ麻雀極のゲームソフトにも出てきていたし、麻雀格闘倶楽部では二階堂姉妹と並んで表立って出ていたという、超偉人という印象がある方。

 

その方が、亡くなったそうだ。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

twitterでは誰も彼も小島武夫の死を惜しがっていた。

青森の祖母の妹さんが埼玉に住んでいたので、ときたま遊びに行っていたのだが、そこの家族は一家そろって麻雀好きで、モンドTVもケーブルテレビで見れた。なので、遊びに行ったときはよく対局を見せてもらっていた。

 長い前置きで大したエピソードもなくて恐縮だが、書かずにはいられなかった。まぁ何が言いたかったかって、麻雀大好きだし、手役重視で華やかに役満和了小島武夫はあこがれだった、ということだ。

 

 麻雀は神様の遊びだという。東南西北が地球から見た感覚と逆なのも、天から見た視点だからだと聞いた覚えもある。天界でも、かっこよくチューレンを上がってほしいと思う。

 ご冥福をお祈りいたします。